先月からNLP(Natural Language Processing),自然言語処理に関する最近の論文を紹介するポッドキャストをはじめました.
Leading NLP Ninja • A podcast on Anchor
経緯
私はポッドキャストが好きで,特にテック系のポッドキャストをよく聞いていました.中でもRebuild.fmやbackspace.fmはお気に入りですが,彼らの話の中で,ポッドキャストを簡単に初められるAnchorというサービスを度々聞くようになっていました.特に配信する予定はなかったのですが,興味がてら触ってみると,スマホだけで簡単に録音&配信ができるようになっており,自分も何か配信したいと考え始めました.
何か配信するとなると,何かの分野ですごい人が,すごいタメになることを配信すべき,みたいな風潮が昔はあった気がしますが,今はYoutuberもすっかり普通になっています.ちょうど色々と発信したい意欲が久しぶりに高まっていたので,何か配信することに決めました.
じゃあ何を配信するかと考えたのですが,Rebuild.fmやTuring Complete FMのような超ハイスペックエンジニア達のトークは,自分のレベルを考えると難しかったので却下しました.ただMisreading Chatでは,論文を紹介して,議論する,という形でこれはやりやすそうだなと思いました.というのも,論文というのは基本的に誰でも読めるところに公開されている場合が多いですし,論文という優良コンテンツは絶え間なく流れてくるので,それを理解する努力さえしてしまえば,面白い話などしなくても,説明するというだけで,立派なコンテンツになります.
前回の記事で少し触れたのですが,読んだ論文をローカルに蓄えておくのは無意味と考えていて,デフォルト公開するようにしていました.githubのissueは本来そのような目的で使うものではないですが,タグ付けできたり,検索できたり,Markdownが使えたり,画像を簡単に貼り付けられたり(簡単に添付する形でアップできる)と,論文のまとめにはとても向いています.ちょうどこれを延長する形でやればいいかなと思い,論文ひとり語りを始めることになりました.本当はもうひとりゲストがいて,分からないところを質問したりした方が良いんですけどね.
Anchorについて
Anchorの特徴として,スマホ単体で収録&配信ができる,ということを謳っています.が,正直撮って出しの配信はリスナーにとって聞き苦しいと思います.他のポッドキャストでも多く指摘されていますが,音質が悪いポッドキャストはたとえコンテンツが良くても聞き難いものです.第1回はAnchorの収録機能を使いましたが,それ以降は別に収録したファイルをアップロードしています.Anchorが素晴らしいのは実はスマホで完結する機能ではなく,音源の配信,各種プラットフォーム(Google Podcasts,Overcast等,私は10の環境で配信しています)での自動配信,アクセスログ解析,をすべて無料で提供している点だと思っています.ビジネスモデルが謎ですが,ポッドキャストの配信サーバーを自前で用意しなくてよいというのは,とても素晴らしいです.
良い音作りを目指して
意外にもポッドキャストの音作りにこだわって,それを記事にしている人は少ないです.現状だと,miyagawaさんとueyamaさんの記事がすばらしいリファレンスになると思います.私もそれぞれ100回ずつぐらい読んだと思います. weblog.bulknews.net note.mu
miyagawaさんなどの記事で紹介されているそれなりのマイクと静かな環境を用意すれば,それなりの音質で取れると思いますが,私もまだまだ納得しておらず,音質マニアになっていくのかなぁと思います.ポッドキャスト作成のための動画はあまりないのですが,Macであれば下記のGarage bandを作った作成動画が秀逸です.私はLogic Proを使っていますが,基本同じです. www.youtube.com
現在,色々な環境を試していますが,録音環境が整ったらまた記事を書こうと思います.とりあえず色々試している段階です.
Apogee ONE for Mac オーディオインターフェース Mac専用 アポジー
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ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー H5
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現状
現在週1ぐらいの更新を目指していて,現在第7回まで来ました.Misreading Chatさんで光栄にも紹介されたこともあり,現在1エピソードあたり100回の再生数になっています.NLP,しかも対話系の論文の紹介に偏っていて,そもそもの潜在研究者の母数を考えると,相当な数だと思っています.
配信のメリット
当初は割とネタ的に配信したのですが,いざやってみると恩恵が大きいことに気づきました.
ポストプロダクションにおいて自分の説明を聴き直すので,悪い口癖(えー,あー,とか)や分かりにくい説明,をしていることに気づけて,次回以降に向けて反省できる.
もちろん反響があると嬉しい,とかもあるのですが,論文を音声だけで説明している都合,論文を短くまとめ,わかり易く説明する必要があります.これがやってみると結構難しいのですが,このまとめて,説明する能力は,非常に重要な技術だと思っています.また普段自分の話しを聞く機会などないですから,話し方の修正のためには素晴らしい機会になっています.たぶんプレゼンとかもうまくなるんじゃないかと思います(そう思いたい).
公開して反響をもらうことによる承認欲求の充実と匿名他者への貢献
学内や社内でも勉強会をしますが,たかだか10人とかのためだけに,資料を作ったり作ってもらったりするのは,ずっと勿体ないと思っていました.Slideshareなどで共有するならまだしも,privateなネットワークに閉じるのは本当に勿体ないと思っています.基本的にそれらは,公の技術の解説であって,機密事項など普通は1mmもないです.更にそれが一流の研究者が解説した資料であれば,尚更勿体ないです.もちろん間違った解釈を公開してしまう可能性もありますし,それを非難する人もいるかもしれませんが,そんな狭量な人たちよりも,そのコンテンツによって理解が促進して感謝する人の方がずっと多いと私は信じています.
サポーター募集中
ポッドキャストの配信は手間とお金が結構かかっています.そこで今話題のPatreonというクリエーター支援サービスで,私もページを作りました.月額で2ドル,5ドル,9ドルと用意しているので,もしポッドキャスト面白いな,頑張ってほしいな,と思ってくださる方がいらっしゃったら,サポーターをご検討いただけると幸いです. www.patreon.com
みなさんもどんどん情報発信しましょう!