The jonki

呼ばれて飛び出てじょじょじょじょーんき

一人語りのポッドキャスト.良い音作りのために必要な作業.

f:id:jonki:20181228001447p:plain おかげさまでポッドキャストLeading NLP Ninjaの配信も約4ヶ月で16回に到達しました.テーマがニッチなのでこれだけの人に聞いて頂けるとは思ってもいませんでした.今回の記事では,私のポッドキャストの録音や編集環境について説明したいと思います.というのも,ポッドキャストを録るにあたってノウハウがMiyagawaさんの記事Rui Ueyamaさんの記事ぐらいだったので,もう少し日本語で情報が合っても良いかなと思い,書いた次第です.更に私はお二方と違って,1人のみでの配信なので,それなりに録音・編集作業への要求レベルが低くて済みます.

www.jonki.net

前提条件としては,下記ぐらいです.Mac環境というのは,編集のみLogic Pro Xを使っているためで,もしWindowsであれば,Audacityでも問題ないと思います.

  • 一人録音
  • Mac環境

今回の記事では,録音環境及び編集環境の2パートで説明をしていきます.

録音環境

私の番組は第5回ぐらいまで,かなりひどい音質です.10回以降あたりから安定するようになりました.ひどい音質にはいくつか理由があります.逆に言うと,これを1つずつ最低限直していけば,高品位な音質になっていきます.1つずつ原因と対策を見ていきます.

録音部屋がひどい

初期では,残響の大きな会議室とかでやっている回がありました.残響が乗ってしまうと正直編集でもどうにもなりません.なるべく残響がない部屋で騒音もない部屋を確保する必要があります.残響の大きさは,例えば1度手を叩いて,その音の余韻が残るかどうかでわかります.Rebuild fmのMiyagawaさんは以前クローゼットでやっていたとのことですが,服などが多いと音を吸収してくれるので残響が少なくてとても良いです.私もアメリカで配信していたときはクローゼットで録音していましたが,日本の住居だと難しいので今は普通の作業部屋でやっています.録音中は嫁には申し訳ないのですが,テレビなどは消してもらっています.環境としてはそこまで良くないのですが,窓を閉める,ドアを閉める,外が静かな時間帯を選ぶ,などでそれなりに回避できています.一人で喋っているので,救急車などが通った場合は,一度発話をやめて,静かになった後に喋り直したりしてます.また後述のマイク環境でもそれなりにノイズ対策ができます.

マイクがひどい

最初はポッドキャストを長く続けられると思っていなかったので,簡単なUSBマイクを使っていました.ただ私の好きなPodcastと聴き比べると,音質の差が明らかになり,これはまずいと思いました.音質の悪いポッドキャストは正直聞くに耐えません.そこで色々試した結果,今の環境に落ち着きました.これに至る前はYetiやAudio-Technica ATR2100-USBなど試しましたが,個人的には,コンデンサマイク,マイクアーム利用可,である必要を感じたため,これらの利用をやめました.マイクには大きく分けて,ダイナミックマイクコンデンサマイクがあります.Miyagawaさんの記事ではノイズが多いような環境ではダイナミックマイクをおすすめしていました.コンデンサマイクは楽器の収音などにも利用されるので,ノイズも繊細に感じ取ってしまいます.しかし,ダイナミックマイクでは,結構声を張る必要があるのと,音が籠もるのでどうも馴染めずいました.今使っているマイクはAston originはコンデンサマイクなのですが,マイクスクリーンと組み合わせるだけで,正直ノイズは気にならないレベルになりました.このあたりの音質評価はdrikinさんがYoutubeで配信していて,これにモロに影響を受けて買いました.マイクが高価なのですが,マイクは録音の心臓部なのでお金をかけたほうが良いです.肌に合わなかったらメルカリなどで売ればそれなりに高音で売れます.またマイクアームも欲しいです.Yetiは机直置きなのですが,キーボードのタイプの振動などを拾いやすい上に,そもそも机上に普段あると邪魔というのがあり,デザインは最高なのですが,メルカリで売ってしまいました.

また録音環境は,これもMiyagawaさんに影響されてZoomのレコーダーにしました.最初はXLR→USB->Macbookにして,Mac上で録音していましたが,Macbook自体のファン動作音やOSの動作不安定性をある程度考慮する必要があるため,録音は専用の録音機器を使ったほうが良いという結論に至りました.このあたりはMiyagawaさんの配信ガイドを是非見てほしいです.やろうと思えば,Live配信や二人以上の同時録音なども可能です.

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー  H5

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー H5

喋り方が悪い

最初はマイク感度などイマイチよくわからず,かなり小さい音で録音していたため,ポストプロダクションでノイズや唾の音などもブーストしてしまう結果となってしまいました.そのため,今では下記に注意しています.

  • マイクはできるだけ口元に近づける
  • 声は大きくはっきりと,フィラーもなるべく避ける
  • 音量レベルは,ちゃんと確認しておく(参考までに今の私の録音レベルはLogic Pro Xでは下記ぐらい)
    f:id:jonki:20181227230838p:plain
    録音レベル(Logic Pro X)
  • マイク音をしっかりモニター用ヘッドフォンでモニタリングする
    音はしっかりとモニターヘッドフォンを使ってモニタすべきです.この音を聞いておけば,ノイズに敏感になって気をつけて録音できます.また無響室で録音しているわけではないので,「サー」といった音は常に聞こえますが,配信する際は,正直あまり気にならないレベルに落とせるので問題ないと思います(モニター用ヘッドフォンで聞いているので,通常リスニング時よりも機敏にいろいろな音が聞こえてしまうというのもあると思います).参考に私の環境では,Zoomのレコーダーのマイクレベルは5.5あたりにセットしてあります.モニター用ヘッドフォンは何でも良いと思うのですが,私はMDR-CD900STに憧れがありつい買ってしまいました.ZoomのH5で聞く場合はフォーンの変換プラグが必要です.余談ですが,プラグは下手に安いのを買うと接触が悪かったりするので,ちゃんとしたブランドのプラグを買いましょう.

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

audio-technica 変換プラグ ATL419CS

audio-technica 変換プラグ ATL419CS

編集環境

私の場合は,1人のため編集はかなり楽ですが,それでも録音時間以上の時間を編集に当てています.定期的な配信をするためにも,私はできるだけ編集は凝らないことにしています.具体的には,音のフェードやBGMなどもまったく使わず,不要な音声部の削除のみをして,細かいポストプロダクションは外部サービスに委託しています.ここでは私が使っているLogic Pro Xでの作業過程をショートカットの説明を添えて追っていきます.プラグインを使わずに基礎機能しか使っていないので,Garage Bandでも同様のことが出来ると思います.

まず準備として,録音したwavファイルをドラッグアンドドロップし,右上の↔,↕で波形がよく見えるようにビューを調整しましょう . f:id:jonki:20181227232404p:plain

これだけです.それではさっそく編集に入ります.編集では無駄な空白時間,言い直し部,フィラー(えー,とか),などを必要に応じて削ります.意図的な空白時間や明らかな言い直しなどはカットすべきですが,フィラーなどは無理して削りすぎなくても良いです.発生が連続していると,余計に他の言葉も削ってしまったり,その分編集作業時間が長くなるためです.

  • スペースキー(音声の再生/停止)

  • < >(シーケンスの数秒の前後移動)

聞く必要のない区間や聞き直しではこれを多用します.

  • CMD+T(トラックの分割です)

不要な部分を削るため,再生シーケンスの位置でトラックを分割します.分割するためには,トラック(音声波形部分)をクリックして選択しておく必要があります.ショートカットが発火しない場合は,音声波形が選択状態にあるか確認してください.不要な部分はその区切られた波形部分をクリックして,Deleteキーで消せます.慣れれば再生を続けながらこの作業ができます.Logic Pro Xでは自動で無声部を削る機能もあるのですが,無駄に削りすぎてしまったりすることを考慮して,結局は全部聞く必要はあるので使っていません.1人録音の場合は,特に頼る必要はないと思います.

  • Shift+A -> Option [(トラックを選択して,左に詰める)

とりあえず不要な部分を削れたとします.そこで削った部分を時系列に左寄せして,無駄なスペースを削りたいと思います.そこでやるのがこの作業です.まず冒頭の録音部分に戻り,トラックの冒頭に再生カーソルをあわせます.そこでShift+Aを押すことで,それ以降の分割されたトラックが選択状態になります.その状態で,Option+[を押すことで,スペースを詰めて各トラックの左寄せができます.これは編集最後に1回やるだけです.

https://media.giphy.com/media/2zotX1QVJRxBIIzxH6/giphy.gif

  • CMD+A -> CMD+J(トラックを全選択して,結合する)

wavとして出力するため分割されたトラックを結合する必要があります.この作業をすると1つのトラックとなります.

  • CMD+A -> CMD+B(トラックを選択して,WAV出力する)

私の場合,Logic Pro Xでの編集作業はここまでなのでWAVに出力します.設定は下記のとおりです.注意として,トラックを選択していない状態でWAV出力しようとすると,オリジナルの音源の長さの文だけ無駄にWAVを出力しようとするので注意です.生成されたWAVの最後が無駄に無声になっていないか注意してください.

f:id:jonki:20181227234625p:plain
WAV出力設定

これでWAVができました.普通はコンプレッサーを使ったり,ノイズを削ったり,音量レベルを揃えたり,色々やる必要はあるのですが,私の場合は,労力削減のため,下記のサービスを使っています.Turing Complete FMでも使っているようです.このサービスは音声ファイル2時間分までは毎月無料で,それ以上は利用時間に応じて利用料金が発生します.私の場合は,月に3時間程度は使っているので,月額11ドルが発生しています.Logic Pro Xをマスターすれば,Auphonicを使う必要はないのですが,音声の編集はそれなりに大変ですし,時間もかかるので,私はAuphonicに全任せしています.個人的にはこれで問題ないレベルの音声になっていると思っています.

auphonic.com

f:id:jonki:20181227235018p:plain
auphonicの設定例

Auphonicに音源をアップしたあとは,しばらく待てば編集作業完了のメールが届き,音声がmp3でダウンロードできるようになっています.あとはこれをポッドキャストホスティングサーバーに上げるだけです.

まとめ

いかがだったでしょうか.1人配信ということで,かなり簡素な編集作業になっているのではないかと思います.それでも現在の私の番組の音質も他の先駆者たちと比べて,そう見劣りする品質ではないのではないかと思います.正しく録音をする,というのがやっかいですが,そこは何とか自分の環境に合わせて調整していく必要があります.5,6回同じ作業をしていけば,自分なりの最適環境に到達するのではないでしょうか?

個人的なFuture workとしては,キャプションに対応して,説明箇所に応じてすぐ再生シーケンスをジャンプ出来るようにしたいと思っています.ただそれをAnchorでやる方法,及び,他のポッドキャストアプリで使ったときの挙動の確認などができていないので,時間を見つけてやりたいと思っています.私の場合は1つの論文を紹介するだけなので,そこまでキャプションは必要ないと思っているのですが,様々なテーマを語るような番組では必須になるのではないかと思います.

ポッドキャストの録音,編集,配信ノウハウはまだまだ全然足りていない気がして,もしこれを読んでくださってるあなたが配信者であれば,そのノウハウを何らかの形でぜひ共有してください.私もまだまだ探り探りなので,ポッドキャスターたちの環境底上げに繋がれば良いなと思っています.