The jonki

呼ばれて飛び出てじょじょじょじょーんき

月次目標のおすすめ

はじめに

今回は大した記事じゃないんですが,月単位の目標を予め月初以前に作っていたらなかなか良かったという話です. もともとはRebuild.fmによく出てるhigeponさんが,何らかの目標を毎月立てて,あとで振り返りをしてるという話を聞いたことからなんですが,ちょうどやろうとしていたことがいつまで経っても消化されないなぁ,と思ってもいたのでやってみました.

月次目標の立て方

仕事にしろプライベートにしろなんでも良いと思うのですが,箇条書きにさっと書いてみます.月が始まる前に書くのが良いですが,月の途中でもやりたいことなどが出てきた場合は更新していました.ちなみに私の場合は,月の目標は仕事とプライベートで分けて管理しています.個人的にはGoogle Keepがおすすめです.Google Keepは他のノートアプリと比べて,整理する,ノートブックを作る,といった整頓作業がないので気持ちがだいぶ楽です.

3月の目標振り返り

私の立てた3月の目標は下記でした.打ち消し線は完了項目です.

内容的にはこんな感じでした. もともとはダラダラと読んでいた形態素解析本を早く読み切りたいなぁ,と思ったのがモチベーションとして大きかったので,個人的には満足行く結果です.だいたい80%ぐらい体感的に完了しました.

月次目標のメリット

やっぱり目標として明記されるので,その月の予定を管理しやすいですし,達成したかどうかが後から振り返って判断できるのでとてもおすすめです.実は1月からやっていたのですが,このときは目標を詰め込みすぎて,1つも達成できなかった,ということもありました.なんやかんやで平日働いているわけですし,それなりに現実的な項目に落とすのもテクニックかなと思います.

これを続けていけば,年末などに自分のやってきたことを振り返れますし,今年になって何を習得したか?といったことも定性的でなく定量的にある程度見れて非常に良いです.

よく年始に「〇〇をする!」みたいな目標を立てたりしますが,年だと正直単位が大きすぎるので,うまくブレークダウンして,スケジューリングしないと,結局立てた目標すら忘れてしまう事態になりがちです.その意味では月という期間はモチベーションや記憶の維持にちょうどよい期間なのではないかと思います.

毎日目標もおすすめ

これは余談ですが,毎日のやることも実はGoogle Keepに箇条書きで前日に書いておくと,明らかにその日のパフォーマンスは良いです.今日最低限これやろう!というぐらいで書いておいて,それが終わったらさっさと退社する,という風にしたところ残業も減りましたし,プライベートな時間で色々開発やらゲームやら出来て,両面で充実して良いです. おしりを決めて,作業するという事を大事に今年は過ごしていこうかなと思います.

まとめ

とまぁ,なんだか意識が高そうな人の記事になってしまったのですが,実はこれは逆でこのようにシステマティックにやらないと何もやらない性格なので,こういう風なやり方を実践してみました,という報告記事になりました. 明日から4月ですし,ぜひ皆さんも月次目標立ててみてはいかがでしょうか?

2018年に買ってよかったもの(日用品とガジェット)

今年も色々なことがあり,いろいろ言い訳を立てて色々買いました.今年買ってよかったものを振り返ります.

日用品

  • 折りたたみ傘

90gとアホみたいに軽いです.2回ほど使いましたが問題なく使えます.常に持ち歩きもできるレベルの軽さなので重宝しています.

  • TRUSCO工具箱

Youtubeで知ったこの箱.工具や筆記用具など様々な物が入れられます.ただの箱なんですが,無骨なデザインがグッとくる,素敵な商品でした.

  • 昼寝枕

会社で昼寝とかするときのために買ったものです.手が痺れないので,ぐっすりと寝れます(!?)

カッターでいいじゃん,と思うかもしれませんが,適度な切れ味のカッターなので,ガムテープの裁断にぴったりで,中の商品を傷つける心配も少ないです.使っていてとても気持ちが良いです.ネットショッピングたくさんする人は必須.

  • デカビタ

湯船に浸かりながらほぼ毎日飲んでます.適量なので最高.

サントリー デカビタC 160g×30本

サントリー デカビタC 160g×30本

ガジェット

  • 電源タップ+USB

出張/旅行用に購入.今まで電源タップとUSB-ACアダプタは個別に持っていましたが,正直これだけで済むようになりました.やや電源ケーブルが短いですが,軽くてコンパクトなので邪魔になりません.

写真のとおりです.Google Home miniの置き場所に困っていたのですが,これだとケーブルも露出せず見た目もスッキリ.音声認識も問題なくできて便利です.Echo dotでも類似商品を使っています.

  • 赤外線コントローラ

安価な赤外線のユニバーサルコントローラです.Google Home/Alexaでの声の操作やスマホからアプリ操作もできます.複数購入して部屋ごとに細かい設定もできて便利です.

  • ディスプレイ

USB C経由でMacbook proに接続でき,映像出力と給電ができて非常にスッキリして便利です.ディスプレイにUSBのハブ機能も持っているので,周辺機器も接続できて更に便利です.

初代がボロボロになって買い替え.毎日使ってます.冬は耳が寒くないので防寒グッズにもなります.

  • スタンディングデスク

腰痛持ちなので購入.意外と安いです.机もしっかりしていて広々快適に使えます.高さ調節もメモリ機能があり,気軽にできます.

  • aston origin

backspace fm御用達のマイク.高いですが,ポッドキャスト配信には最適なマイクの1つだと思います.

Macbook proをUSB Cケーブル一本で,映像出力,給電,USBハブ,e-SATAなど色々つなげるハブです.高いですが,しっかりと給電でき,熱問題もありません.ただEIZOのディスプレイを買ったので私の中ではオワコンに..

  • iPad Pro 2018 12.9 inch

軽い作業をしたいとき,簡単なメモを取りたい時,旅行先,などで活躍してくれてます.ディスプレイが大きくなったので論文もかなり読みやすいです.

Apple iPad Pro (12.9インチ, Wi-Fi, 512GB) - スペースグレイ

Apple iPad Pro (12.9インチ, Wi-Fi, 512GB) - スペースグレイ

まとめ

2018年,買ってよかったものをまとめてみました.今年前半は米国にいたためAmazon.comでたくさん買い物もできて楽しかったです.

来年もどうぞよろしくおねがいします!

arXiv論文のためのChrome拡張を作った

皆さんはarXivの論文を読んでまとめようとするとき,どうやってその論文情報をEvernoteなりOneNoteなりに書いていますか?私はいちいちコピペしていたのですが,arXivは更新頻度が高いので面倒だなと思い,Chromeの拡張を作って単純作業は自動化しました.

作ったのは2つ.1つずつ概要を説明していきます.もし興味あればChrome拡張のコード説明も後半に載せます.

  1. 論文の主要情報をテキストとしてコピーするもの(arXiv clip

  2. 論文の主要情報を所定のGitbhubにissueとしてポストするもの(arxiv2issue

arXiv clip

下記のような特定の論文ページを開いた状態で,arXiv clipのアイコンをクリックすることで,論文情報(タイトル,著者,コメント部(学会情報が書かれること多い,未記入の場合はスキップ),URL)が下記のようにコピーされます.論文を共有したい時とかに便利です. f:id:jonki:20181228111051j:plain

Learning End-to-End Goal-Oriented Dialog
Antoine Bordes, Y-Lan Boureau, Jason Weston    
Accepted as a conference paper at ICLR 2017
https://arxiv.org/abs/1605.07683

arxiv2issue

これは先程の応用編のようなものです.私は論文をGithubのissueにまとめています.気になった論文をこれまではarXiv clipでコピーした情報を,いちいちIssue生成→貼り付け,とやっていたのですが,面倒なのでissueの生成も自動化するようにしました.こちらも先程と同様に所定のarXivの論文のページでarxiv2issueのアイコンをクリックするだけです.issueに投稿するにあたって,GithubのPersonal Access Tokenというものを使用しています.arxiv2issueのアイコンを右クリックして,生成したトークン,Githubユーザー名,リポジトリ名をセットしておくことで,好きなリポジトリでissueを生成することができます.

Personal Access Tokenの取得方法などは,下記のREADMEを参考にしてみてください. github.com

f:id:jonki:20181228111723p:plain
投稿イメージ

以下コード解説をしてみますが,Chrome拡張に興味がある人は見てみてください.私自身,本機能のためだけにChrome拡張を作ったのでちゃんと勉強していません.下手な書き方など大いにあると思いますがご容赦ください.

コード解説

Chromeの拡張作成の細かいところは,公式のドキュメントに譲り,ここでは機能のコア部分について説明します.

まずarxiv-clipは下記のような構成になっています.ソースコードはこちら

$ tree
.
├── background.js    // 所定のページ(今回はarxiv)を現在のタブが開いているかチェックし,開いていればアイコンを有効化
├── jquery-3.3.1.slim.min.js    // HTMLのパース用に追加
├── manifest.json   // Chrome拡張の宣言ファイルのようなもの
├── popup.html   // アイコンを押したときに表示されるGUI.
├── popup.js  // 下記に詳述

もっとも重要なpopup.jsのコードを貼ります.やっている内容は,カレントタブのHTMLを読み込んでjQueryに流し込み,欲しい情報を取得.取得した論文情報をcopyToClipboard関数を使ってクリップボードにコピーしています.このコピー部分はトリッキーなことをやっていますが,ブラックボックスな関数として使って良いと思います.

ARXIV_URL = 'https://arxiv.org/*';

function getCurrentTabUrl(callback) {
    var queryInfo = {
        url: ARXIV_URL,
        active: true,
        currentWindow: true
    };

    chrome.tabs.query(queryInfo, (tabs) => {
        if (tabs.length > 0) {
            var tab = tabs[0];
            var url = tab.url;
            console.assert(typeof url == 'string', 'tab.url should be a string');
            callback(url);
        } else {
            $('#result').text('not arXiv!');
        }
    });
}

function modifyDOM() {
    return document.body.innerHTML;
}

function copyToClipboard(text) {
    const input = document.createElement('textarea');
    input.style.position = 'fixed';
    //input.style.opacity = 0;
    input.value = text;
    document.body.appendChild(input);
    input.select();
    document.execCommand('Copy');
    document.body.removeChild(input);
};

document.addEventListener('DOMContentLoaded', () => {
    getCurrentTabUrl((url) => {
        chrome.tabs.executeScript({
            code: '(' + modifyDOM + ')();' //argument here is a string but function.toString() returns function's code
        }, (results) => {
            var $dom = $($.parseHTML(results[0]));
            title = $dom.find('h1.title').text().split('Title:')[1];
            authors = $dom.find('div.authors').text().split('Authors:')[1];
            authors = authors.replace(/\n/g, '');
            comment = $dom.find('div.metatable').find('.comments').text();
            if (comment != '') {
                info = [title, authors, comment, url].join('\n');
            } else {
                info = [title, authors, url].join('\n');
            }

            copyToClipboard(info);
            $('#result').text('copied!');

            // hide popup automatically
            setTimeout(function () {
                window.close();
            }, 3000);
        });
    });
});

次にarxiv2issueの説明に入ります.コードはこちら.こちらの拡張はarxiv clipを拡張する形で作ります.追加で必要な機能として,トークンやリポジトリ情報を保存する機構とissueにポストする機能の2つを説明します.

情報を保存するためOptionsを呼ばれるページを作ります.アイコンを右クリックしたときに現れる設定ページのようなものです.基本的にはチュートリアルの例をコピペして,自分用にカスタムしただけです. Give Users Options - Google Chrome

情報の保存には,chrome.storage.syncを利用します.これを利用するとChromeで同期しているアカウント内ではデータが共有され,複数台のマシンを持っている人はイチイチ設定し直さなくてよいので便利です.下記のoptions.html/jsでは,3つのテキスト情報をchromeに保存しています.

<!DOCTYPE html>
<html>
    <head><title>arxiv2issue Options</title></head>
    <body>

        Github User Name:
        <p><input id="user-name"></p>
        Github Repository Name:
        <p><input id="repo"></p>
        Github Personal Access Token (<a href="https://github.com/settings/tokens/new">Get your token.</a> "repo" option must be checked for this extension.):
        <p><input id="token"></p>

        <div id="status"></div>
        <button id="save">Save</button>

        <script src="options.js"></script>
    </body>
</html>
// Saves options to chrome.storage
function save_options() {
    var uname = document.getElementById('user-name').value;
    var repo  = document.getElementById('repo').value;
    var token = document.getElementById('token').value;
    chrome.storage.sync.set({
        uname : uname,
        repo  : repo,
        token : token
    }, function() {
        var status = document.getElementById('status');
        status.textContent = 'Options saved.';
        setTimeout(function() {
            status.textContent = '';
        }, 750);
    });
}

// Restores values
function restore_options() {
    chrome.storage.sync.get({
        uname: '',
        repo: '',
        token: ''
    }, function(items) {
        document.getElementById('user-name').value = items.uname;
        document.getElementById('repo').value = items.repo;
        document.getElementById('token').value = items.token;
    });
}
document.addEventListener('DOMContentLoaded', restore_options);
document.getElementById('save').addEventListener('click', save_options);

f:id:jonki:20181228120401p:plain
設定画面

そしてissueにポストします.先程のpopup.jsを改変するだけで良いです.issue作成のために,Githubのv3 APIを使っています.非常に簡単で,先程のトークンをGETパラメタにセットしているだけです.注意としては,Acceptヘッダにjsonを入れるようにする必要があります.issueはJSON文字列として作り,タイトルや本文などの設定ができます.v3 APIのページにセットできるパラメタリストが載っています.私はtitleとbodyのみを設定して,ポストしています.

// 略
function create_issue(title, body, year, callback) {
    var base_url = 'https://api.github.com/repos';
    chrome.storage.sync.get(['uname', 'repo', 'token'], function(data) {
        var uname = data.uname;
        var repo = data.repo;
        var token = data.token;
        var url = [base_url, uname, repo, 'issues'].join('/');

        var url = url += '?access_token=' + token;
        console.log('URL: ' + url);

        var data = JSON.stringify({
            'title': ['🚧', year + ':', title].join(' '),
            'body': body
        });
        var request = new XMLHttpRequest();
        request.open('POST', url);
        request.onreadystatechange = function () {
            if (request.readyState != 4) {
            } else if (request.status != 201) {
                console.log(request.responseText);
                callback('Failed to post an issue.');
            } else {
                var resp = JSON.parse(request.responseText);
                callback('Issue posted!: #' + resp.number);
            }
        };
        request.setRequestHeader('Content-Type', 'application/x-www-form-urlencoded');
        request.setRequestHeader('Accept', 'application/vnd.github.symmetra-preview+json');
        request.send(data);
    });
}
// 略

まとめ

今回はarXivの論文をまとめるための簡単なツールを紹介しました.arXivは更新頻度が多いので見るのが大変です.こういったツールを活かして,手作業コピペなどの余計な作業時間は極力減らして,うまく効率的に論文を読みたいものですね.

一人語りのポッドキャスト.良い音作りのために必要な作業.

f:id:jonki:20181228001447p:plain おかげさまでポッドキャストLeading NLP Ninjaの配信も約4ヶ月で16回に到達しました.テーマがニッチなのでこれだけの人に聞いて頂けるとは思ってもいませんでした.今回の記事では,私のポッドキャストの録音や編集環境について説明したいと思います.というのも,ポッドキャストを録るにあたってノウハウがMiyagawaさんの記事Rui Ueyamaさんの記事ぐらいだったので,もう少し日本語で情報が合っても良いかなと思い,書いた次第です.更に私はお二方と違って,1人のみでの配信なので,それなりに録音・編集作業への要求レベルが低くて済みます.

www.jonki.net

前提条件としては,下記ぐらいです.Mac環境というのは,編集のみLogic Pro Xを使っているためで,もしWindowsであれば,Audacityでも問題ないと思います.

  • 一人録音
  • Mac環境

今回の記事では,録音環境及び編集環境の2パートで説明をしていきます.

録音環境

私の番組は第5回ぐらいまで,かなりひどい音質です.10回以降あたりから安定するようになりました.ひどい音質にはいくつか理由があります.逆に言うと,これを1つずつ最低限直していけば,高品位な音質になっていきます.1つずつ原因と対策を見ていきます.

録音部屋がひどい

初期では,残響の大きな会議室とかでやっている回がありました.残響が乗ってしまうと正直編集でもどうにもなりません.なるべく残響がない部屋で騒音もない部屋を確保する必要があります.残響の大きさは,例えば1度手を叩いて,その音の余韻が残るかどうかでわかります.Rebuild fmのMiyagawaさんは以前クローゼットでやっていたとのことですが,服などが多いと音を吸収してくれるので残響が少なくてとても良いです.私もアメリカで配信していたときはクローゼットで録音していましたが,日本の住居だと難しいので今は普通の作業部屋でやっています.録音中は嫁には申し訳ないのですが,テレビなどは消してもらっています.環境としてはそこまで良くないのですが,窓を閉める,ドアを閉める,外が静かな時間帯を選ぶ,などでそれなりに回避できています.一人で喋っているので,救急車などが通った場合は,一度発話をやめて,静かになった後に喋り直したりしてます.また後述のマイク環境でもそれなりにノイズ対策ができます.

マイクがひどい

最初はポッドキャストを長く続けられると思っていなかったので,簡単なUSBマイクを使っていました.ただ私の好きなPodcastと聴き比べると,音質の差が明らかになり,これはまずいと思いました.音質の悪いポッドキャストは正直聞くに耐えません.そこで色々試した結果,今の環境に落ち着きました.これに至る前はYetiやAudio-Technica ATR2100-USBなど試しましたが,個人的には,コンデンサマイク,マイクアーム利用可,である必要を感じたため,これらの利用をやめました.マイクには大きく分けて,ダイナミックマイクコンデンサマイクがあります.Miyagawaさんの記事ではノイズが多いような環境ではダイナミックマイクをおすすめしていました.コンデンサマイクは楽器の収音などにも利用されるので,ノイズも繊細に感じ取ってしまいます.しかし,ダイナミックマイクでは,結構声を張る必要があるのと,音が籠もるのでどうも馴染めずいました.今使っているマイクはAston originはコンデンサマイクなのですが,マイクスクリーンと組み合わせるだけで,正直ノイズは気にならないレベルになりました.このあたりの音質評価はdrikinさんがYoutubeで配信していて,これにモロに影響を受けて買いました.マイクが高価なのですが,マイクは録音の心臓部なのでお金をかけたほうが良いです.肌に合わなかったらメルカリなどで売ればそれなりに高音で売れます.またマイクアームも欲しいです.Yetiは机直置きなのですが,キーボードのタイプの振動などを拾いやすい上に,そもそも机上に普段あると邪魔というのがあり,デザインは最高なのですが,メルカリで売ってしまいました.

また録音環境は,これもMiyagawaさんに影響されてZoomのレコーダーにしました.最初はXLR→USB->Macbookにして,Mac上で録音していましたが,Macbook自体のファン動作音やOSの動作不安定性をある程度考慮する必要があるため,録音は専用の録音機器を使ったほうが良いという結論に至りました.このあたりはMiyagawaさんの配信ガイドを是非見てほしいです.やろうと思えば,Live配信や二人以上の同時録音なども可能です.

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー  H5

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー H5

喋り方が悪い

最初はマイク感度などイマイチよくわからず,かなり小さい音で録音していたため,ポストプロダクションでノイズや唾の音などもブーストしてしまう結果となってしまいました.そのため,今では下記に注意しています.

  • マイクはできるだけ口元に近づける
  • 声は大きくはっきりと,フィラーもなるべく避ける
  • 音量レベルは,ちゃんと確認しておく(参考までに今の私の録音レベルはLogic Pro Xでは下記ぐらい)
    f:id:jonki:20181227230838p:plain
    録音レベル(Logic Pro X)
  • マイク音をしっかりモニター用ヘッドフォンでモニタリングする
    音はしっかりとモニターヘッドフォンを使ってモニタすべきです.この音を聞いておけば,ノイズに敏感になって気をつけて録音できます.また無響室で録音しているわけではないので,「サー」といった音は常に聞こえますが,配信する際は,正直あまり気にならないレベルに落とせるので問題ないと思います(モニター用ヘッドフォンで聞いているので,通常リスニング時よりも機敏にいろいろな音が聞こえてしまうというのもあると思います).参考に私の環境では,Zoomのレコーダーのマイクレベルは5.5あたりにセットしてあります.モニター用ヘッドフォンは何でも良いと思うのですが,私はMDR-CD900STに憧れがありつい買ってしまいました.ZoomのH5で聞く場合はフォーンの変換プラグが必要です.余談ですが,プラグは下手に安いのを買うと接触が悪かったりするので,ちゃんとしたブランドのプラグを買いましょう.

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

audio-technica 変換プラグ ATL419CS

audio-technica 変換プラグ ATL419CS

編集環境

私の場合は,1人のため編集はかなり楽ですが,それでも録音時間以上の時間を編集に当てています.定期的な配信をするためにも,私はできるだけ編集は凝らないことにしています.具体的には,音のフェードやBGMなどもまったく使わず,不要な音声部の削除のみをして,細かいポストプロダクションは外部サービスに委託しています.ここでは私が使っているLogic Pro Xでの作業過程をショートカットの説明を添えて追っていきます.プラグインを使わずに基礎機能しか使っていないので,Garage Bandでも同様のことが出来ると思います.

まず準備として,録音したwavファイルをドラッグアンドドロップし,右上の↔,↕で波形がよく見えるようにビューを調整しましょう . f:id:jonki:20181227232404p:plain

これだけです.それではさっそく編集に入ります.編集では無駄な空白時間,言い直し部,フィラー(えー,とか),などを必要に応じて削ります.意図的な空白時間や明らかな言い直しなどはカットすべきですが,フィラーなどは無理して削りすぎなくても良いです.発生が連続していると,余計に他の言葉も削ってしまったり,その分編集作業時間が長くなるためです.

  • スペースキー(音声の再生/停止)

  • < >(シーケンスの数秒の前後移動)

聞く必要のない区間や聞き直しではこれを多用します.

  • CMD+T(トラックの分割です)

不要な部分を削るため,再生シーケンスの位置でトラックを分割します.分割するためには,トラック(音声波形部分)をクリックして選択しておく必要があります.ショートカットが発火しない場合は,音声波形が選択状態にあるか確認してください.不要な部分はその区切られた波形部分をクリックして,Deleteキーで消せます.慣れれば再生を続けながらこの作業ができます.Logic Pro Xでは自動で無声部を削る機能もあるのですが,無駄に削りすぎてしまったりすることを考慮して,結局は全部聞く必要はあるので使っていません.1人録音の場合は,特に頼る必要はないと思います.

  • Shift+A -> Option [(トラックを選択して,左に詰める)

とりあえず不要な部分を削れたとします.そこで削った部分を時系列に左寄せして,無駄なスペースを削りたいと思います.そこでやるのがこの作業です.まず冒頭の録音部分に戻り,トラックの冒頭に再生カーソルをあわせます.そこでShift+Aを押すことで,それ以降の分割されたトラックが選択状態になります.その状態で,Option+[を押すことで,スペースを詰めて各トラックの左寄せができます.これは編集最後に1回やるだけです.

https://media.giphy.com/media/2zotX1QVJRxBIIzxH6/giphy.gif

  • CMD+A -> CMD+J(トラックを全選択して,結合する)

wavとして出力するため分割されたトラックを結合する必要があります.この作業をすると1つのトラックとなります.

  • CMD+A -> CMD+B(トラックを選択して,WAV出力する)

私の場合,Logic Pro Xでの編集作業はここまでなのでWAVに出力します.設定は下記のとおりです.注意として,トラックを選択していない状態でWAV出力しようとすると,オリジナルの音源の長さの文だけ無駄にWAVを出力しようとするので注意です.生成されたWAVの最後が無駄に無声になっていないか注意してください.

f:id:jonki:20181227234625p:plain
WAV出力設定

これでWAVができました.普通はコンプレッサーを使ったり,ノイズを削ったり,音量レベルを揃えたり,色々やる必要はあるのですが,私の場合は,労力削減のため,下記のサービスを使っています.Turing Complete FMでも使っているようです.このサービスは音声ファイル2時間分までは毎月無料で,それ以上は利用時間に応じて利用料金が発生します.私の場合は,月に3時間程度は使っているので,月額11ドルが発生しています.Logic Pro Xをマスターすれば,Auphonicを使う必要はないのですが,音声の編集はそれなりに大変ですし,時間もかかるので,私はAuphonicに全任せしています.個人的にはこれで問題ないレベルの音声になっていると思っています.

auphonic.com

f:id:jonki:20181227235018p:plain
auphonicの設定例

Auphonicに音源をアップしたあとは,しばらく待てば編集作業完了のメールが届き,音声がmp3でダウンロードできるようになっています.あとはこれをポッドキャストホスティングサーバーに上げるだけです.

まとめ

いかがだったでしょうか.1人配信ということで,かなり簡素な編集作業になっているのではないかと思います.それでも現在の私の番組の音質も他の先駆者たちと比べて,そう見劣りする品質ではないのではないかと思います.正しく録音をする,というのがやっかいですが,そこは何とか自分の環境に合わせて調整していく必要があります.5,6回同じ作業をしていけば,自分なりの最適環境に到達するのではないでしょうか?

個人的なFuture workとしては,キャプションに対応して,説明箇所に応じてすぐ再生シーケンスをジャンプ出来るようにしたいと思っています.ただそれをAnchorでやる方法,及び,他のポッドキャストアプリで使ったときの挙動の確認などができていないので,時間を見つけてやりたいと思っています.私の場合は1つの論文を紹介するだけなので,そこまでキャプションは必要ないと思っているのですが,様々なテーマを語るような番組では必須になるのではないかと思います.

ポッドキャストの録音,編集,配信ノウハウはまだまだ全然足りていない気がして,もしこれを読んでくださってるあなたが配信者であれば,そのノウハウを何らかの形でぜひ共有してください.私もまだまだ探り探りなので,ポッドキャスターたちの環境底上げに繋がれば良いなと思っています.

NLPの論文を解説するポッドキャストを始めた

先月からNLP(Natural Language Processing),自然言語処理に関する最近の論文を紹介するポッドキャストをはじめました.

Leading NLP Ninja • A podcast on Anchor

経緯

私はポッドキャストが好きで,特にテック系のポッドキャストをよく聞いていました.中でもRebuild.fmbackspace.fmはお気に入りですが,彼らの話の中で,ポッドキャストを簡単に初められるAnchorというサービスを度々聞くようになっていました.特に配信する予定はなかったのですが,興味がてら触ってみると,スマホだけで簡単に録音&配信ができるようになっており,自分も何か配信したいと考え始めました.

何か配信するとなると,何かの分野ですごい人が,すごいタメになることを配信すべき,みたいな風潮が昔はあった気がしますが,今はYoutuberもすっかり普通になっています.ちょうど色々と発信したい意欲が久しぶりに高まっていたので,何か配信することに決めました.

じゃあ何を配信するかと考えたのですが,Rebuild.fmやTuring Complete FMのような超ハイスペックエンジニア達のトークは,自分のレベルを考えると難しかったので却下しました.ただMisreading Chatでは,論文を紹介して,議論する,という形でこれはやりやすそうだなと思いました.というのも,論文というのは基本的に誰でも読めるところに公開されている場合が多いですし,論文という優良コンテンツは絶え間なく流れてくるので,それを理解する努力さえしてしまえば,面白い話などしなくても,説明するというだけで,立派なコンテンツになります.

前回の記事で少し触れたのですが,読んだ論文をローカルに蓄えておくのは無意味と考えていて,デフォルト公開するようにしていました.githubのissueは本来そのような目的で使うものではないですが,タグ付けできたり,検索できたり,Markdownが使えたり,画像を簡単に貼り付けられたり(簡単に添付する形でアップできる)と,論文のまとめにはとても向いています.ちょうどこれを延長する形でやればいいかなと思い,論文ひとり語りを始めることになりました.本当はもうひとりゲストがいて,分からないところを質問したりした方が良いんですけどね.

www.jonki.net github.com

Anchorについて

Anchorの特徴として,スマホ単体で収録&配信ができる,ということを謳っています.が,正直撮って出しの配信はリスナーにとって聞き苦しいと思います.他のポッドキャストでも多く指摘されていますが,音質が悪いポッドキャストはたとえコンテンツが良くても聞き難いものです.第1回はAnchorの収録機能を使いましたが,それ以降は別に収録したファイルをアップロードしています.Anchorが素晴らしいのは実はスマホで完結する機能ではなく,音源の配信,各種プラットフォーム(Google Podcasts,Overcast等,私は10の環境で配信しています)での自動配信,アクセスログ解析,をすべて無料で提供している点だと思っています.ビジネスモデルが謎ですが,ポッドキャストの配信サーバーを自前で用意しなくてよいというのは,とても素晴らしいです.

f:id:jonki:20180921230736p:plain

良い音作りを目指して

意外にもポッドキャストの音作りにこだわって,それを記事にしている人は少ないです.現状だと,miyagawaさんとueyamaさんの記事がすばらしいリファレンスになると思います.私もそれぞれ100回ずつぐらい読んだと思います. weblog.bulknews.net note.mu

miyagawaさんなどの記事で紹介されているそれなりのマイクと静かな環境を用意すれば,それなりの音質で取れると思いますが,私もまだまだ納得しておらず,音質マニアになっていくのかなぁと思います.ポッドキャスト作成のための動画はあまりないのですが,Macであれば下記のGarage bandを作った作成動画が秀逸です.私はLogic Proを使っていますが,基本同じです. www.youtube.com

現在,色々な環境を試していますが,録音環境が整ったらまた記事を書こうと思います.とりあえず色々試している段階です.

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー  H5

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー H5

現状

現在週1ぐらいの更新を目指していて,現在第7回まで来ました.Misreading Chatさんで光栄にも紹介されたこともあり,現在1エピソードあたり100回の再生数になっています.NLP,しかも対話系の論文の紹介に偏っていて,そもそもの潜在研究者の母数を考えると,相当な数だと思っています.

配信のメリット

当初は割とネタ的に配信したのですが,いざやってみると恩恵が大きいことに気づきました.

ポストプロダクションにおいて自分の説明を聴き直すので,悪い口癖(えー,あー,とか)や分かりにくい説明,をしていることに気づけて,次回以降に向けて反省できる.

もちろん反響があると嬉しい,とかもあるのですが,論文を音声だけで説明している都合,論文を短くまとめ,わかり易く説明する必要があります.これがやってみると結構難しいのですが,このまとめて,説明する能力は,非常に重要な技術だと思っています.また普段自分の話しを聞く機会などないですから,話し方の修正のためには素晴らしい機会になっています.たぶんプレゼンとかもうまくなるんじゃないかと思います(そう思いたい).

公開して反響をもらうことによる承認欲求の充実と匿名他者への貢献

学内や社内でも勉強会をしますが,たかだか10人とかのためだけに,資料を作ったり作ってもらったりするのは,ずっと勿体ないと思っていました.Slideshareなどで共有するならまだしも,privateなネットワークに閉じるのは本当に勿体ないと思っています.基本的にそれらは,公の技術の解説であって,機密事項など普通は1mmもないです.更にそれが一流の研究者が解説した資料であれば,尚更勿体ないです.もちろん間違った解釈を公開してしまう可能性もありますし,それを非難する人もいるかもしれませんが,そんな狭量な人たちよりも,そのコンテンツによって理解が促進して感謝する人の方がずっと多いと私は信じています.

サポーター募集中

ポッドキャストの配信は手間とお金が結構かかっています.そこで今話題のPatreonというクリエーター支援サービスで,私もページを作りました.月額で2ドル,5ドル,9ドルと用意しているので,もしポッドキャスト面白いな,頑張ってほしいな,と思ってくださる方がいらっしゃったら,サポーターをご検討いただけると幸いです. www.patreon.com

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